子どもから目が赤いよ?って言われました。

今日午後、有給を頂いて、妻の診察に付き添いました。

一昨日の健診のエコーで悪性が疑われたからです。
マンモグラフィ、CT、造影MRIを連日行い、今日その結果が出ました。
4歳の多動気味の幼児を抱えながら、検査を頑張ってました。
ここ数日は、妻より私の方が動揺していて、妻はいつもと全く変わらずに、家事をこなし子ども達の世話を焼いていました。
午後の仕事を代わってもらえることになって、電話したら、仕事の方を心配して、事故起こさないようにと。有給は、他の日の仕事がきつくなるので、ほとんど取らない。今日取らないでいつ取るのか?という気持ちでとった。
「しこりがあるので吸引細胞診を」
「癌かどうか可能性が高いか低いかでいえば高いですかね」
一度足りともモニターから目を離さずに言う。おかしいなーなどとつぶやきを繰り返している。2年前のエコーでは全く見られていなかったことが疑問なようだ。
 
機からモニターを見ていれば、マンモグラフィには石灰化があるようだし、造影MRI読影コメントは、乳癌の所見とはっきり書いてある。
 
去年の10月、結婚10年目を迎えた。記念日が近づくと、「サプライズは絶対やめてね。好きなの買いたいから」毎年言い、数年前からは、「スイートテンでまとめていい奴頂戴!」。
年末こちらが当直している間に子連れで里帰りして、デパートで母と二人で選んできた。いたずらっぼくわらって、一目で気に入ったと言う指輪に光る石を見て、あと10年20年は普通に過ぎて、彼女が、私の人生で最も長く時間を共にする人になるんだろうと、当たり前のように思った。
 
癌は14×15mm、同側リンバ節に転移(Level1)。
ネットで調べた範囲では良くてstage2。5年生存率は概ね80%はあるようだ。
愕然とした。
今のメンタリティではこの数字は、5人に一人は命を落とす、としか解釈できない。
大体は助かるなんてとても思えない。
診察が終わって家に着いた。平日、夕食を一緒に食べることは今まで無いから、上の二人は単純に喜んで、風呂も一緒に入りたいと言う。下の子も釣られて一緒に入ると。食事が終わって子どもの歯磨きをしている妻を見て、子供たちの数年後を不意に想像してしまう。
ぎこちなくトイレに入った。トイレットペーパーで目頭を拭う。そのまま鼻をかんでそっとトイレをあとにすると、子供たちは既に風呂場にいてシャワーで頭を濡らしていた。私に頭洗ってと。長女は3年生だが一番甘えん坊だ。すぐに風呂場に入ってシャワーを顔から浴びて、それから長女の髪にシャンプーをつけて泡立てた。1年生の長男は自分で全部洗って浴槽で何やら遊び始めている。
後回しにされた4歳が太ももをツツいてきた。ちょつと待ってと答えたら、「ねーねー、目が赤いよ?」と不思議そうに見上げているのと目が合った。
「そお?」とだけ答えた。すぐ頭からシャワーを浴びた。何とか平静を装えたかなと思う。